●TA(Transactional Analysis : トランズアクショナル アナリシス)とは
TAとは正式には(Transactional Analysis : トランズアクショナル アナリシス)と言い、日本ではその略称であるTA(ティーエー)もしくは日本語訳の「交流分析」と呼ばれることが多い、臨床心理学の理論体系の一つです。
TAは理論的でシンプルで分かりやすく、そしてなおかつ奥が深いという特徴があります。
心理学に興味を持った初学者から、臨床場面で使っている精神科医やカウンセラーまで、そのレベルに合った使い方が出来ます。
TA理論を日常生活に使って、より「自律的に生きる」ということを実践していくことも出来ますし、この理論をカウンセリングやコーチングなどに活用することも出来ます。
このTA理論の体系は、学者や学界によって諸説ありますが、当協会では下記のように分類し、整理しています。
- ①
- 自我状態分析 私たちが自分と考えている自我(TAではエゴとも言います)の状態について、C(Child:子)、P(Parent:親)、A(Adlut:成人)という3つの自我状態をベースに、当協会では9つの自我状態のそれぞれの強弱とバランスに基づき、分析をしていきます。
- ②
- やりとり分析 私たちのパーソナリティの特徴ともいえる9つの自我状態が、人々のコミュニケーションにおいて、どの自我で働きかけ、どの自我で応えているのか、それがどのような影響を与えているのか考察します。
- ③
- ストロークとディスカウント理論 コミュニケーションにおいて私達がやり取りしているエネルギーの種類、ストローク(承認)とディスカウント(値引き)とその影響について考察します。ここでは、他者とのコミュニケーションだけではなく、自分とのコミュニケーションについても対象にします。
- ④
- 心理的ゲーム理論とラケット感情 事柄は違うのに、いつも同じ展開で嫌な結末・嫌な感情で終わるコミュニケーション。これらのやり取りをTAでは心理的ゲーム・ラケット感情と呼び、人生を生き生きと過ごすための大きな障害となっている事を学びます。
- ⑤
- 人生脚本理論 私たちが誕生した後、自我(エゴ)を形成していく過程で無意識のうちに書いてしまっている自分自身に関する人生のシナリオについて考察を深め、無意識のパターンからの脱却を目指します。
以上の5つの要素ほかにも、OK図表(自分と他者との間に無意識に築いている対人関係のスタンスを表した図表)、禁止令と拮抗禁止令(気づかないうちに無意識の中に格納されている自分に大きな影響を与えている制約的な要素)といった要素とともに、TAの理論全体を学び、活用していきます。
●交流分析の創始者 エリック・バーン(Eric Berne)
1910年5月10日カナダにて生誕、アメリカで活動した精神科医。ジークムント・フロイトの精神分析理論の考え方をベースとして、交流分析(Transactional Analysis:TA)を提唱した。1970年7月15日死去(60歳)。
●主な経歴
- 1910年
- カナダのケベック州モントリオールで開業医の子として生まれる。
- 1935年
- マギル大学より医学博士の学位を取得した。
- 1941年
- ニューヨーク精神分析協会(New York Psychoanalytic Institute )で精神分析医としての訓練を開始し、パウル・フェダーン(Paul Federn)の教育分析を受け2年間ともに仕事をした。
- 1956年
- サンフランシスコ精神分析協会に精神分析医としての資格申請を行うが却下される。
- 1957年
- 米国集団精神療法学会(American Group Psychotherapy Association)の西部大会で『交流分析:新しい効果的な集団療法("Transactional Analysis: A New and Effective Method of Group Therapy")』と題する研究発表をした。
- 1958年
- 前年に発表した論文が「American Journal of Psychotherapy」に掲載され、TAは有名になる。
- 1958年以降
- サンフランシスコ社会精神医学セミナー(San Francisco Social Psychiatry Seminars)を主宰し、毎週火曜日の夜に開催した。
- 1970年
- 死去
●主な著書
・1964年出版 Games People Play.は、世界的なベストセラー。(邦訳版あり)。
・1970年出版 Sex in Human Loving.(邦訳版あり)。
参考:Wikipedia
●TA(交流分析)の歴史
TA(Transactional Analysis /交流分析)は、1950年代後半にアメリカの精神学者であるエリック・バーンが創案したものです。
エリック・バーンは、師であるジークムント・フロイトが提唱していた「解難性障害」などをモデルとする精神分析論の難解さに疑問を持ち、人間の主体性、創造性、自己実現といった人間の肯定的な側面からアクセスしたわかりやすい理論を構築し、提唱しました。
それは心理学の世界で絶大な力を持っていた師フロイトの精神分析論に相反する理論だったため、「通俗心理学」と非難され、精神分析学会からも追放されてしまいます。
しかし一方で、簡単で堅苦しくない言葉とわかり易い理論により、カウンセリングや臨床の治療場面に取り入れられ、TAは普及していくことになります。
1964年に、エリック・バーンは、TAを尊重する学士者たちとともに、国際交流分析協会(ITAA)を設立し、その活動は現在も続いています。
日本には、1970年代後半、心理学を専攻する大学教授のグループ及び社会人教育指導者が、それぞれ渡米し、TAを学び日本に持ち帰りました。
アメリカでの指導者の違いにより、取り扱うエゴの数など、大学教授のグループ、社会人教育指導者で日本に持ち帰った理論に多少の差がありますが、精神分析の口語版といわれるわかりやすさで、医療、教育、また社会人研修の場で、どちらの理論も急速に普及し、現在に至ります。
当協会では、1970年代以降、社会人指導者が普及した6個のエゴを扱うTAの解釈をさらに深めて9個に増やし、より多角的に自分を理解することを目指しています。